福岡県筑紫野市、二日市温泉の「大丸別荘」の大浴場で、
人体に有害な「レジオネラ属菌」が基準値の3700倍検出されました。
「レジオネラ属菌って何?初めて聞いたんだけど…」
「そんな基準値超えのとんでもないお湯に浸かったらどうなるの?」
の疑問に答えます!
大丸別荘で検出されたレジオネラ属菌って何?
レジオネラ属菌は、川や湖、温泉や土などの自然界に生息する細菌で、
20〜50℃の水まわりで生息・増殖します。
レジオネラ属菌は現在、約60種類が確認されていて、
感染すると「レジオネラ症」を引き起こすことがあります。
ちなみに、レジオネラ属菌は60度の環境であれば5分間で殺菌されます。
「レジオネラ症」って何?
「レジオネラ症」とはレジオネラ属菌に感染することで起こります。
健康な人もかかりますが、幼児やお年寄り、また他の病気などで
体の抵抗力が低下している人に発病のおそれが強いといわれています。
また、レジオネラ症には2つの型があります。
①ポンティアック熱
- 潜伏期間 : 1~2日(平均38時間)
- 発症率 :95%以上
- 症状:突然的な発熱や寒気、咳、頭痛、筋肉痛など
- 一時的で特に治療をしなくても自然に治癒する
②レジオネラ肺炎
- 潜伏期間 : 2~10日(平均4から5日)
- 発症率 :1~7%
- 症状:38度以上の発熱、咳、痰、呼吸困難とともに、頭痛、筋肉痛、全身の倦怠感、下痢、意識障害、幻覚、手足の震えなど、呼吸器以外の症状が出ることもある
- 重症の肺炎を引き起こす場合があり、死亡する例もあるため、早期に抗菌薬による治療が必要
レジオネラ属菌に感染してしまう場面
- レジオネラ属菌の含まれた細かい霧やしぶきを口や鼻から吸い込んでしまう
例:噴水、加湿器、循環式浴槽、ジャグジーなど
- レジオネラ属菌の含まれた腐葉土などの粉塵を吸い込んでしまう
例:土壌に触れている時など
- 温泉や川などでレジオネラ属菌の含まれた水を飲み込んでしまう
例:温泉に浸かる時や川遊びをする時など
今回ニュースになった二日市温泉「大丸別荘」の温泉において、
レジオネラ属菌に感染してしまうおそれがあるのは①と③の場合ということになりますね。
ちなみに、レジオネラ属菌は人から人に感染することはありません。
国内での感染事例
- 温泉施設
- 高齢者福祉施設
- ホテル、旅館の入浴施設
- 公衆浴場
- スポーツクラブの入浴施設
- 老人ホームの加湿器
- バスの自動洗浄装置
少し意外なところでも感染の事例が起きているようです。
レジオネラ属菌の基準値超えのお湯に浸かるとどうなる?
先にも述べましたが、レジオネラ属菌が多く潜んでいるお湯(温泉)に浸かり、
細かい霧やしぶきを吸ってしまったり、誤って飲み込んでしまった場合には感染してしまうおそれがあります。
そして、その人の体調によっては発熱や、重い肺炎になったりするということです。
大丸別荘で基準値の3700倍のレジオネラ菌が検出
今回問題となった「大丸別荘」の大浴場では、レジオネラ属菌が『基準値の3700倍が検出された』とのこと。
…と、この「基準値って何?」ということで調べてみました。
『福岡県旅館業法施行細則』によると、
レジオネラ属菌は、100ミリリットル中、10CFU未満であること。
と定められています。
CFUとは、Colony Forming Unit(コロニー フォーミング ユニット)の略で、
細菌検査の結果に使用される単位です。
つまり大丸別荘の大浴場のお湯は、37,000CFU程度のレジオネラ属菌が検出されたことになります。
これほどの数値になった原因は、福岡県の条例で定められている以下の項目
- 連日使用型の循環浴槽は、「完全換水」と呼ばれるすべての湯を取り替える作業を週1回以上行うこと
- 塩素濃度を1リットルあたり0.4ミリグラム以上にする必要がある
これらを守らなかった結果だと思われます。
最後に
温泉に浸かるというのは、癒やしを求めたり、体の不調の緩和を求めて入湯するものだと思います。
今回の大丸別荘の件では、それとは真逆の結果を生みだす経営状態で、
決して許されるものではいと思います。
目に見えないものであるが故に、利用者はその施設を信用して利用しているわけなので、
その信用を失うことはとても残念なことだと感じます。
以上、ここまでご覧いただきありがとうございました。